- 2025.02.04
- こもれび訪問看護ステーション
身体拘束等の適正化の指針
身体拘束等の適正化のための指針
株式会社MSコープポレーション
こもれび訪問看護ステーション
1.身体拘束廃止に関する基本的な考え方
身体拘束は利用者の生活の自由を制限するものであり、利用者の尊厳ある生活を阻むものである。利用者の尊厳と主体性を尊重し、拘束を安易に正当化することなく職員一人ひとりが身体的・精神的弊害を理解し、拘束廃止に向けた意識を持ち、身体拘束をしない支援の実施に努める。
(1)身体拘束及びその他の行動を制限する行為の原則禁止
原則として、身体拘束及びその他の行動を制限する行為(以下「身体拘束等」という。)を禁止とする。
(2)身体拘束等を行う基準
やむを得ず身体拘束等を行う場合には、以下の3要件を全て満たす必要があり、その場合であっても、身体拘束等を行う判断は組織的かつ慎重に行う。
➀切迫性
利用者本人又は他の利用者等の生命、身体、権利が危険にさらされる可能性が著しく高いこと。「切迫性」を判断するには、身体拘束を行うことにより、利用者の日常生活等に与える影響を勘案し、それでもなお身体拘束を多くなうことが必要になる程度まで、利用者等の生命または身体が危険にさらされる可能性が高いことを確認する必要がある。
➁非代替性
身体拘束等を行う以外に代替する方法がないこと。「非代替性」を判断する場合には、いかなる場合でもまずは身体拘束を行わずにケアするすべての方法の可能性を検討し、利用者が生命又は身体を保護するという観点から他に代替手法が存在しないことを複数の職員で確認する必要がある。また拘束の方法も利用者様の状態像等に応じて最も制限の少ない方法を選択しなければならない。
③一時性
身体拘束等が一時的であること。「一時性」を判断する場合には、利用者の状態像等に応じて必要な最も短い時間の拘束時間を想定する必要がある。
※ただし、肢体不自由、特に体幹機能障害がある利用者が、残存機能を活かせるよう、安定した着座位姿勢を保持するための工夫の結果として、ベルト類を装着して身体を固定する行為は「やむを得ない身体拘束等」ではなく、その行為を行わないことがかえって虐待に該当するため、留意が必要である。
(3)身体的構想に該当する具体的行為
➀徘徊しないように、車椅子や椅子、ベッドに体幹や四肢を紐等で縛る
➁転落しないように、ベッドに体幹や四肢を紐等で縛る
③自分で降りられないように、ベッド柵(サイドレールで)で囲む
④点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、四肢を紐等で縛る
⑤点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、又は皮膚をかきむしらないように、手指の機能を制限するミトン型の手袋等をつける
⑥車椅子や椅子からずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型抑制帯や腰ベルト、車椅子テーブルをつける
⑦立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるような椅子を使用する
⑧脱衣やオムツ外しを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる
⑨他人への迷惑行為を防ぐために、ベッドなどに体幹や四肢を紐等で縛る
⑩行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる
⑪自分の意志で開くことの出来ない居室等に隔離する
2.身体拘束等の適正化に向けた体制
(1)身体拘束等適正化委員会の設置
身体拘束の廃止に向けて身体拘束等適正化委員会(以下、「委員会」という)を設置し、その結果について従業者に周知徹底を図る。
なお、この身体拘束適正化検討委員会は、虐待防止委員会と一体的に設置運営する
①設置目的
(ア)身体拘束廃止に向けての現状把握及び改善についての検討
(イ)身体拘束等を実現せざるを得ない場合の検討及び手続き
(ウ)身体拘束等を実施した場合の解除の検討
(エ)身体拘束等廃止に関する職員全体への指導
(オ)高齢者虐待・身体拘束に関するマニュアルの見直し
(カ)身体拘束ゼロを目指して、利用者に身体拘束をすることが無いよう、安全な環境を目指して職員教育や訓練事業の整備等実施
②委員会の構成員
管理者、看護師、理学療法士、介護職員、介護支援専門員
委員会は上記構成員をもって構成するほか、必要に応じてその他職種職員を参加させることができることとする。
- 身体拘束等適正化委員会の開催
- 3回/年(5月・9月・1月)
- 必要時には随時開催をする
- 委員会開催時の検討・協議
- 虐待の未然防止のためマニュアル等の確認し、必要に応じて見直す
- 発生した虐待や身体拘束を検証し、虐待の再発防止策の検討及び身体拘束が身体拘束の排除マニュアルに沿って適切な手続き、方法で行われているかを確認する
- 定期的な研修の実施(年2回)
- 新任職員への研修実施
- その他必要な教育・研修の実施
- 実施した研修Ⅱついての実施内容(研修資料)及び出席者の記録と保管
(2)やむを得ず身体拘束等を行う場合の対応
本人又は他利用者の生命又は身体を保護するための措置として緊急やむを得ず身体拘束等を行わなければならない場合は、以下の手順をふまえて行うこととする。
(ア)利用前
① 事前の情報で緊急やむを得ず身体拘束等を必要とする場合は身体拘束等適正化委員会にて協議する。
② 身体拘束等の内容、時間等について、個別支援計画等に記載し、利用者及び家族に対し現場責任者が説明を行い、「身体拘束・行動制限に関する説明書」(様式1)を以て同意を得る。
(イ)利用時
利用中の経過から緊急やむを得ず身体拘束等を必要とする場合は、身体拘束等適正化委員会において実施件数の確認と身体拘束等をやむを得ず実施している場合(解除も含む)については協議検討し、議事録に残す。
(ウ)身体拘束等の継続と解除
① 身体拘束等を行っている間は日々経過観察を行い、「緊急やむを得ない身体拘束に関する経過観察・検討記録」(様式2)を用いて、身体拘束発生時にその態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由その他必要な事項を記録する。
② 身体拘束等適正化委員会において協議し、継続か廃止かの検討を行う。
③ 身体拘束等継続の場合は、引き続き日々の経過観察を行い、「身体拘束経過記録」(様式3)に記録する。
④ 身体拘束等解除の場合は即日、現場責任者より家族に身体拘束等解除について説明し同意を得る。
(エ)緊急時
① 緊急やむを得ず身体拘束等を行うときは、職員同士で協議し緊急やむを得ない理由をケース記録に記録する。その後の事は身体拘束等適正化委員会において協議する。
②家族への説明は翌日までに現場責任者が行い、同意を得る。
3.身体拘束等に向けた各職種の役割
身体拘束等の廃止のために、各職種の専門性に基づくアプローチから、多職種協働を基本とし、それぞれの果たすべき役割に責任を持って対応する。
(管理者)
① 身体拘束等適正化委員会の統括管理
② 支援現場における諸課題の統括管理
- 身体拘束等廃止に向けた職員教育
(看護・セラピスト、介護専門員)
- 家族、医師、相談支援専門員との連絡調整
② 居宅における医療行為の範囲の整備
③ 重度化する利用者の状態観察
- 記録の整備
(介護職員)
① 拘束がもたらす弊害を正確に認識する。
② 利用者の尊厳を理解する。
③ 利用者の疾病、障害等による行動特性の理解
④ 利用者個々の心身の状況を把握し基本的ケアに努める
⑤ 利用者とのコミュニケーションを充分にとる
- 記録は正確かつ丁寧に記録する
4.当指針の閲覧について
「身体拘束等の適正化の為の指針」は求めに応じていつでも事業所内で閲覧できるようにします。また、ホームページにも公表し、利用者及び家族がいつでも自由に閲覧できるようにします。
附 則
この指針は、令和6年4月1日より施行する。